世界経済は日本化するのか
この30年間、日本の経済は成長していません。
日本の生産性が低いと言われると、仕事の要領や効率の悪さを指摘されているように思いますが、そういうわけでもありません。
日本の「GDP」を「総労働人口」で割った数値が低いということです。要するに、日本のGDPは、この30年間ずっと横ばいなわけで、それをどうにかしないといけないのです。
アメリカや中国のGDPは、どんどん成長しているのに、日本のGDPはそのまんま。
なので、一時は米国を追い抜くかと思われた日本のGDPも、今では米国のたった3分の1。中国に抜かれて、あっと言う間に、中国の2分の1しかありません。
それで、何が問題なのかと言うと、企業が内部留保を増やし続けて、従業員の給料を上げず、その結果、物価が上がらないことです。「従業員の給料を上げない」という表現には、正社員を削って、非正規社員を増やすことも含んでいます。
物価が上がらないから、企業は低価格競争に打ち勝つために、永遠にコスト削減に走り、最もコスト削減に効果のある人件費削減に突き進む。
企業に雇われている人は、給料が上がらないから、必死で節約に取り組み、無駄なお金は使わない。
まあ、そのサイクルがいわゆるデフレというものなのでしょうが、30年間もデフレと対峙している国って、日本以外に、歴史上で存在したのでしょうか?
結局、金融緩和みたいな金融政策では、どうにもならないことも実験済です。
人手不足→人材の流動化→魅力的な職場への人材移動→給料の上昇→物価の上昇
というサイクルを作らない限り、インフレにはならないようですので、この数年、日本でもやりだした「最低賃金の引き上げ」のほうが、金融緩和なんかより、全然良いんじゃないか(効果があるんじゃないか)と思います。
なぜならば、いくら市場にお金が溢れても、いくら企業が儲かっても、企業は従業員の給料を上げようとしないけれども、最低賃金を引き上げたら、間違いなく誰かの給料が上がるわけですから。
できれば、この「最低賃金の引き上げ」以外に、従業員の給料を引き上げられる妙案があれば、日本経済も上向くことでしょう。
私は、「令和の大合併」として、日本人の9割が働く中小零細企業の大規模な会社統合が必要なのではないかと考えます。中小零細企業が統合されて、大企業に近い雇用条件が提供されれば、「働きたいと思う会社」が増えて、人材の奪い合いが激しくなって、多くの人達の給料が上がっていくはずです。
「平成の大合併」として自治体の多くが合併しましたが、「令和の大合併」として中小零細企業合併を促すことによって、インフレへと導く。
そんな、インフレ策は、如何でしょうか?