コールセンター委託会社で働きながら。

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福岡市委託のコールセンター業者、開設時間守らず入札参加停止

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福岡市がコールセンター業務を委託した事業者が、入札条件のコールセンター開設時間を守らなかったために、入札参加を停止されたそうです。

 

このニュース、とても複雑な気持ちで読みました。

 

きっと、コールセンター事業に関わっていない一般の人は、福岡市側の視点でこの記事を読むと思うんです。入札の条件を守らないなんて、とんでもない。 どれだけ、卑劣な業者なんだ、と。

市民の税金をなんだと思ってるんだと怒り心頭で、この記事を読むことでしょう。

その気持ちは、よくわかります。

 

しかし、少しばかり、コールセンターの実状を知っている立場からすると、ちょっと違った見方になります。 そもそもの、入札の条件が悪かったんじゃないの? とも思ってしまいます。

その条件設定自体が、本当に難しいんですけれど。

 

コールセンター運営業務の入札は、業務品質だとか、運営体制だとか、いろいろと点数を付けて選定するわけですが、結局、金額の占めるウェイトが大きいと思うんです。

コールセンターの品質だとか、運営体制って、実際に運用を開始してから、その良し悪しがわかるもので、いくら机上で説明しても意味がないわけです。

だから、結局のところ、実績と金額だけで事業者を選定することになります。

でも、実績も、あまり意味がないことがあります。

同じ運営事業者でも、今回の福岡市のコールセンターと違う条件では、高品質のコールセンターを運営していたかもしれません。 その条件とは、例えば、オペレーターに支払う報酬がもっと高かったとか、人を集めやすい場所にセンターがあったとか、昔はもっと安い時給でも人を集められたとか・・・。

条件が違うセンター運営の実績をたくさん並べても、実は意味がなかったりします。

 

それでも、10件の実績よりも、100件の実績のある事業者に発注するほうが安心できるのは、担当者の心情として理解します。 (本当は意味ないんですけれど) 

 

それで、結局、「こんな体制で、こんな品質で運営できます」 という説明(机上の空論)が出来て、それなりの実績がある事業者のうちで、最安値の事業者 を選ぶことになります。

 

でも、その金額で、本当に必要な人材を確保できるかどうかは、きっと、やってみないとわからないんです。 しかし、ちょっと余裕をみた金額設定にすると、入札には勝てない。

事業者側からすると、ある意味、バクチのようなものです。

 

これが、民間企業相手の商売だと、運用開始後に 「想定していたよりも人が集まらないですね」ということで、お互いが納得すれば、単価を見直すこともできます。

しかし、行政の入札案件では、落札してしまったら最後、その落札条件で走り続けるしかないわけです。

それで、今回の件、コールセンター事業者だけが悪いのかと言うと、どうなんだろうなあ・・・と。

福岡市だって、「そんな条件では、人が集まらないでしょ?」 と指摘しなかったわけですし。

(そんなこと、わからなくて当然なんですけれど)

 

結局、世の中の動きだとか、このコールセンターの成り行きを誰も予想できなかっただけなんです。 むしろ、1年目より2年目のほうが運用時間も改善されているし、同じ事業者に任せ続けるのが本当は得策なんだろうと思うわけです。

 

ひょっとすると、福岡市の担当者もそう思っているのかも知れませんが、市民や、他の事業者に突っ込まれると、そうも言ってられないので、入札参加停止という話になったんだろう・・・というのが、私の見立てです。

全然、違ってたら、スイマセン。笑

 

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